児童教育実践に
ついての研究助成

第13回(2018年度)

第13回助成対象一覧(研究助成期間:2018年4月-2019年3月)

  • 第13回「児童教育実践についての研究助成」は、全国からいただいた121件のご応募の中から、下記の研究を助成いたします。
  • 研究助成期間終了後は、各研究の成果をホームページで公開する予定です。
助成対象研究(代表)者 (50音順、敬称略) 研究タイトル(※グループ研究) 研究内容
助成対象研究(代表)者
研究タイトル(※グループ研究)
稲田 尚子(いなだ なおこ)
東京大学大学院教育学研究科 研究員
小学生に対するアンガーマネジメントプログラムの開発:効果的な指導方略の検討 ※
鵜飼 修(うかい おさむ)
滋賀県立大学地域共生センター 准教授
地域診断ワークショップを活用したまちづくり学習プログラム・ツールの開発
大西 彩乃(おおにし あやの)
筑波大学附属桐が丘特別支援学校 施設併設学級 小学部 教諭
表出言語としての「ことば」を持たない重度・重複障害児に対する「ことば」の指導の在り方に関する実践研究 ※
岡田 涼(おかだ りょう)
香川大学教育学部 准教授
子どもの援助要請に対する教師の必要性の認知に関する研究
蒲生 諒太(がもう りょうた)
京都大学大学院教育学研究科 大学院生
学習者の主体的な学びを可能にする「探究的な学習」テキスト開発研究 ―「探究」教室での試行と学びの社会的リソースとしての社会教育施設調査をもとに
河合 裕美(かわい ひろみ)
神田外語大学児童英語教育研究センター(CTEC) 専任講師
聴覚障害児童の英語音声の知覚・産出能力の実態調査 -通常学級内授業における指導法・教材開発検討のための基礎研究- ※
木村 淳子(きむら じゅんこ)
慶應義塾大学政策・メディア研究科 大学院生
聴覚障がい児に対する言語発達支援のための検査バッテリーの開発 -語の意味推論方略に焦点を当てて-
篠沢 薫(しのざわ かおる)
東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科 大学院生
日本語がマイノリティ言語である環境で育つ子どもたちの言語発達:家庭における支援に向けて
須惠 耕二(すえ こうじ)
熊本大学工学部技術部電気応用グループ 技術専門職員
音声式地図パズル教材の全国提供による全盲児の地理学習環境の改善 ※
田中 光(たなか ひかる)
広島大学大学院教育学研究科 大学院生
意見文作成課題の文章産出方略における尺度の妥当性および実用性の検討 ※
田中 祐輔(たなか ゆうすけ)
東洋大学国際教育センター 准教授
帰国・外国人児童生徒のためのJSL国語教科書語彙シラバスの研究 ―グローバル社会における共生型小学校国語科教育をめざして―
丹所 忍(たんしょ しのぶ)
兵庫教育大学大学院学校教育研究科 講師
先天性視覚障害児の空間表現語理解に関する研究 -位置関係の表現における空間参照枠の活用を中心に-
本間 優子(ほんま ゆうこ)
新潟青陵大学福祉心理学部臨床心理学科 准教授
幼児期におけるデジタル絵本を用いた役割取得能力トレーニングの効果の検証 -小1プロブレムの予防に向けて- ※
松原 和樹(まつばら かずき)
中央学院大学商学部 専任講師
算数・数学における系統的な折り紙教材の開発研究
米澤 千昌(よねざわ ちあき)
大阪大学大学院言語文化研究科 大学院生
複言語・複文化環境で育つ子どもの「学び」を育む支援環境構築に関する研究

(所属・役職は助成決定時のもの)

小学生に対するアンガーマネジメントプログラムの開発:効果的な指導方略の検討 ※

稲田 尚子(いなだ なおこ)

東京大学大学院教育学研究科 研究員

近年、小学校において、対人トラブルを予防し、学校生活での適応を促進するための心理教育プログラムの一環として、怒りのコントロールに焦点を当てた、アンガーマネジメント・プログラムが注目されてきている。通常の学校現場で教師が実施可能なプログラムおよび、その効果検証をした報告は世界的にみてもほとんどない。また、怒りには感情的・認知的・行動的側面があるとされるが、その3つの側面すべての怒りのマネジメントを試みたプログラムは、申請者の知る限り、我が国ではまだ行われていない。 本研究では、①小学生向けアンガーマネジメントプログラムの指導方法に関する専門家養成研修プログラムの実施、②小学生を対象としたアンガーマネジメント・プログラムの実施を行い、実施可能性検討のための研究を行う。

▲ページのトップに戻る

地域診断ワークショップを活用したまちづくり学習プログラム・ツールの開発

鵜飼 修(うかい おさむ)

滋賀県立大学地域共生センター 准教授

地方において人口がますます減少する中、子どもたちが、自らが育った地域に対して愛着を持ち、いつかその地域に貢献するよう促すことが、教育現場における地方創生への貢献となる。しかしながら、小学校における地域学習の取り組みは各学校、各教員の裁量に委ねられることが多く、また、その学習内容も子どもたちの学習内容への対応に追われ、地域の「まちづくり」と連動するものとはなっていない。本研究においては、児童、教員がより実施しやすい学習プログラムとして、地域の特徴を活かしたまちづくりを学習する学習プログラム(地域診断ワークショップ学習プログラム E-RDWS)および補助教材としてのツールを開発する。そして、開発したプログラムやツールの普及に向けて情報発信を行う。

▲ページのトップに戻る

表出言語としての「ことば」を持たない重度・重複障害児に対する「ことば」の指導の在り方に関する実践研究 ※

大西 彩乃(おおにし あやの)

筑波大学附属桐が丘特別支援学校 施設併設学級 小学部 教諭

「ことば」の発達には、表出言語としての言葉だけではなく、認知発達やコミュニケーション能力等、多岐に渡る発達の視点が重要である。本研究は、重度・重複障害児における「ことば」の指導に関する指導理念の構築や指導方法、指導内容の在り方を考究することを目的とした。
そこで、研究1において「ことば」の発達に関する研究等を参考に、重度・重複障害児における「ことば」の指導の理論化を図るため、チェックリストの作成等を行う。続いて、研究2において、学校現場において授業実践を分析する。
本研究は、「ことば」の表出がなく、自発的な動きや要求行動の読み取りが困難な重度・重複障害児に着目することにより、「ことば」とは何か、「ことば」を育てるとはどういうことなのか、その本質に迫ることができると考える。

▲ページのトップに戻る

子どもの援助要請に対する教師の必要性の認知に関する研究

岡田 涼(おかだ りょう)

香川大学教育学部 准教授

本研究では,子どもが問題を抱えた際に,教師に援助を求めることができる教育環境の構築に資する知見を提出することを目指す。そのために,学校種ごとに「教師がどのような問題に関する援助要請を必要だと感じているか」(援助要請の必要性の認知)を明らかにし(目的1),その特徴を加味して,援助要請に関する知見を伝えるリーフレットを作成する(目的2)。研究目的1を達成するために,小中高の教師を対象とする質問紙調査(研究1)および面接調査(研究2)を行い,援助要請の必要性の認知の特徴とその規定因を明らかにする。目的2を達成するために,国内外の先行研究をレビューし(研究3),研究1と2の知見にもとづき,学校場面における子どもの援助要請に関する研究知見を紹介する教師向けのリーフレットを作成し,その評価を得る。

▲ページのトップに戻る

学習者の主体的な学びを可能にする「探究的な学習」テキスト開発研究 ―「探究」教室での試行と学びの社会的リソースとしての社会教育施設調査をもとに

蒲生 諒太(がもう りょうた)

京都大学大学院教育学研究科 大学院生

本研究の目的は「社会に開かれた教育課程」の確立を掲げる学習指導要領改訂、高大接続改革などの一連の教育改革を念頭に、より多くの学習者が自ら主体的に「探究的な学習」を実践できるように中高生向けの学習者用テキスト教材の開発である。今回開発した教材は従来の「生活科・総合的な学習の時間」実践研究とかけ合わされ、将来的に「学校から仕事・社会へのトランジション」を目指す一貫性のある学校・社会教育確立のため、小学校の児童向け教材開発へと展開する準備となる。

▲ページのトップに戻る

聴覚障害児童の英語音声の知覚・産出能力の実態調査 -通常学級内授業における指導法・教材開発検討のための基礎研究- ※

河合 裕美(かわい ひろみ)

神田外語大学児童英語教育研究センター(CTEC) 専任講師

本研究の目的は、公立小学校の通常学級で外国語活動授業を受ける聴覚障害を持つ児童を対象とした英語音声の指導法開発の根拠を示していくために,英語母語子どもの音声処理システムを応用した測定方法を使い,研究対象児童の英語音声の知覚や産出の能力を明らかにし,かつ、通常学級の音環境や外国語授業を受けている児童の実態を調査することである。英語音声(分節音や超分節音)の困難度を特定し,教室内で具体的にどのような困難を抱えているのかを明らかにすることによって,2020年の英語教科化までに旧来の日本語音声を介した指導方法を抜本的に見直す。通常学級に在籍する聴覚障害児童が増加傾向にある現実を考慮し,口形模倣(筋肉運動)や視覚的援助など,具体的な指導法や教材を検討するための基礎研究と位置づけるものである。

▲ページのトップに戻る

聴覚障がい児に対する言語発達支援のための検査バッテリーの開発 -語の意味推論方略に焦点を当てて-

木村 淳子(きむら じゅんこ)

慶應義塾大学政策・メディア研究科 大学院生

本研究では、聴覚障がい幼児が新しい語の意味をどのような方略で推論するかを調査し、ことばを育てるために有効な教育の方法を明らかにすることを目的とする。聴覚障がい児は特に児童期以降ことばの問題を抱えやすい。この問題の根は幼児期の言語獲得にあると考える。問題解決のためには、聴覚障がい幼児がどのような推論を行いながら言語発達をしていくのかを明らかにすることが必要である。本研究では、聴覚障がい幼児が新しいことば(名詞)を示されたときの意味推論の方略を調査する。また非言語での認知的柔軟性についても調査し、新しい語の意味の推論や認知的柔軟性が標準的な言語検査の結果とどのように関連しているかを調査する。この結果をもとにして、個々の聴覚障がい児に対し今後の指導の方針が得られる検査バッテリーの開発を目指す。

▲ページのトップに戻る

日本語がマイノリティ言語である環境で育つ子どもたちの言語発達:家庭における支援に向けて

篠沢 薫(しのざわ かおる)

東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科 大学院生

本研究は、日本人の子どものほとんどが現地校に通い、第二言語で教育を受けているイギリスにて、日本人の子どもの日本語と英語の発達に関して多角的に検証する。イギリスでは、多言語下の子どもが、入学時からの第二言語(英語)の遅れを改善できないまま現地校に通い続けることで、学力そのものが低下する子どもが増えていることがわかった(Whiteside & Norbury,2017)。しかし、第一言語(母語)の発達については調査されていないため、不明な点が多い。母語の獲得は多言語下の子どもの学力の低下を防ぐ(中島・佐野,2016)ことから、子どもの第一・第二言語の発達について明らかにしたい。そして、この知見を得ることで、多言語下の子どもと親への家庭における支援につなげたい。

▲ページのトップに戻る

音声式地図パズル教材の全国提供による全盲児の地理学習環境の改善 ※

須惠 耕二(すえ こうじ)

熊本大学工学部技術部電気応用グループ 技術専門職員

全盲児は点地図での地理を学ぶが、触読だけでは記憶時間の限界から広範囲の地形や相対位置関係の習得が困難で、重複障害児にはその問題が顕著である。そこで、今年試作した音声式はめ込み地図パズルの盲教育現場への導入を図る。これは、地域別のA4サイズパネルを本体に差し替えることで全国の地理を学ぶ音声式の新教材で、触察で県の形状を確認し、はめ込み時に県名や簡単な特色を読み上げる。遊び感覚での学習行動に対し、言葉によって位置と情報を即時に関連付けるため、全盲児の地理学習意欲を刺激し、記憶を向上させる効果が期待できる。
本研究では、全国の盲学校に本教材の導入希望調査をし、大学生・中学生対象の「社会貢献型ものづくり」の実施と作品寄贈によって授業への導入を図り、地理学習環境と教育効果の改善成果を調べる。
これらにより、教員の教育負荷軽減と全盲児の地理学習成果向上を目指す。

▲ページのトップに戻る

意見文作成課題の文章産出方略における尺度の妥当性および実用性の検討 ※

田中 光(たなか ひかる)

広島大学大学院教育学研究科 大学院生

平成29年3月公示の学習指導要領国語科では,小学校高学年の指導内容として意見を述べることの指導がとりあげられている。意見文指導の授業研究をより推進していくためには,授業によって,意見文の文章産出方略がどのように変化したかを測定する尺度が必要であると考えられる。そこで,大学生を対象に収集した意見文作成課題における文章産出方略を基に,現職の小学校教諭と協議して小学生高学年を対象とした尺度構成を行い,その妥当性および実用性等を検討する。そのために本研究では,小学校高学年を対象に意見文作成課題と,その際に使用した方略を尋ねる調査を行い,意見文の質と方略使用の関連を調べる。尺度の妥当性や実用性が示されるならば,尺度を用いて,小学校高学年における意見文の文章産出方略の使用実態を調べることができるようになる。

▲ページのトップに戻る

帰国・外国人児童生徒のためのJSL国語教科書語彙シラバスの研究 ―グローバル社会における共生型小学校国語科教育をめざして―

田中 祐輔(たなか ゆうすけ)

東洋大学国際教育センター 准教授

本研究は、グローバル化に伴う我が国の義務教育の国際化に対応するために、帰国・外国人児童の学びに必要とされるJSL国語教科書語彙シラバスを明らかにするものである。具体的には、光村図書・三省堂・東京書籍・学校図書・教育出版から刊行された、1年生から4年生までの全ての小学校国語検定教科書の語彙調査から学年別、教科書別、単元別、品詞別のデータベースを作成・分析し、学習者のレベルや属性毎にどのような語彙指導が必要かを解明する。そして、得られた成果をもとに、教育従事者が帰国・外国人児童のレベルや属性に応じて学年別、教科書別、作品別、単元別、品詞別の指導語彙と指導順を把握できるWebサイトを作成し、情報集約サイト『CASTA-NET』(文部科学省)において公開する。以上を通して、我が国で学ぶ全ての児童が等しく学習機会を得ることができる共生型小学校国語科教育のための日本語支援拡充に寄与することを目指す。

▲ページのトップに戻る

先天性視覚障害児の空間表現語理解に関する研究 -位置関係の表現における空間参照枠の活用を中心に-

丹所 忍(たんしょ しのぶ)

兵庫教育大学大学院学校教育研究科 講師

本研究の目的は、生まれながらの視覚障害により「視覚表象」のない先天性視覚障害児の空間表現語理解の特徴を明らかにすることである。視覚が人の発達に果たす役割は大きく、先天性視覚障害児は空間概念の形成や言語発達に遅れが生じる。特に、「バーバリズム」と呼ばれる言語理解と使用に関する課題は、空間表現語理解においても生じると考えられる。先天性視覚障害児の空間表現語理解の実態を把握し、意図的で系統的な教育を行う必要性が考えられるが、先天性視覚障害児の空間表現語理解の発達は実証されておらず、アセスメント方法や指導方法は存在しない。本研究では、先天性視覚障害児が物と物や自己と物や他者との位置関係をどのように理解しているか、言語的説明と移動行動において用いられる空間参照枠に着目して明らかにし、基礎的知見を得ることとする。

▲ページのトップに戻る

幼児期におけるデジタル絵本を用いた役割取得能力トレーニングの効果の検証 -小1プロブレムの予防に向けて- ※

本間 優子(ほんま ゆうこ)

新潟青陵大学福祉心理学部臨床心理学科 准教授

近年,小1プロブレムが問題となっている。その予防として,小学校入学前の幼児を対象に,デジタル絵本を用いて役割取得能力をトレーニングすることは,保育者にとって簡易に,そして幼児にとって主体的にトレーニングができることを意味し,教育実践の質を向上させると言える。アメリカと比較すると,日本の幼児教育におけるメディア利用に関する研究蓄積は浅い。そのため研究1では保育者を対象としたメディア活用に関する意識調査を行う。また,申請者は特別支援学級での実践において,タブレット端末を利用したデジタル絵本を用いた役割取得能力トレーニングの有用性を示したが,紙絵本との比較は行っていない。そのため,研究2では両者の比較検討を行う。研究3では本研究の主目的として,幼児用の役割取得能力トレーニング用のタブレット端末を用いたデジタル絵本教材を開発し,トレーニング効果の検証を行う。

▲ページのトップに戻る

算数・数学における系統的な折り紙教材の開発研究

松原 和樹(まつばら かずき)

中央学院大学商学部 専任講師

本研究では児童・生徒の主体的思考活動を促す系統的な折り紙教材の開発およびその有用性の検証を行う。ただし、折り紙とは折ることのできる様々な形の紙(またはその他の素材)を指す。折り紙は幾何学的対象を具体的に表現できることから、折り紙を用いた教材はこれまでにも幾何学分野を中心に広く研究されている。しかしながら、内容的に高度なものが多く、継続的に学校現場で導入されている例は少ない。そこで、本研究は代数、解析、確率・統計などのすべての分野で、基礎的内容から発展的内容までの系統的な教材開発を目指す。日本の折り紙は世界的にも"Origami"と認知され、最近では宇宙開発事業など実社会への応用が急速に進んでいる。その中で、本研究は日本発祥とも言える折り紙科学の裾野を広げる研究である。

▲ページのトップに戻る

複言語・複文化環境で育つ子どもの「学び」を育む支援環境構築に関する研究

米澤 千昌(よねざわ ちあき)

大阪大学大学院言語文化研究科 大学院生

本研究の目的は、学校現場で増えている複数の言語文化環境で育つ外国にルーツをもつ子どもの「学び」を育むよりよい支援環境を構築し、その支援の有効性を実証することである。
本研究では彼らの「学び」を複数の言語能力を含めた21世紀の社会を生き抜く総合的な力を獲得していくことと捉える。アクションリサーチによる実践を行いながら、日本語指導にのみ主眼が置かれ、在籍学級から切り離された環境にある支援の現状を再考するとともに、日本語支援教室での学びを在籍学級の全ての子どもの学びの中に位置づけ、他の児童と共に学ぶことができる支援方法について探っていく。そしてその実践下での子どもたちの複数の言語能力、他の児童と関わる中での情報発信、異文化接触への対応の変化について、質的データを基に分析を行い、支援の有効性を実証する。

▲ページのトップに戻る