博報賞

活動タイトル

歌人としての実績・スキルを活かした、中学校における国語表現の授業実践

竹添 智美

国語・日本語教育部門| キーワード:書く力/作文/論文/短歌/俳句/エッセイ/文集福岡県
竹添 智美

活動内容

 ていねいに、一人ひとりのよいところを見つめ褒める。...自らも短歌創作に携わりながらの授業実践。
 最近の高校生は選択肢や穴埋め問題は解いても記述問題には手をつけようとしない、あるいはまた作文や行事の感想文を書かせても一見立派なことは言っているが通り一遍のことばで済ませた、深みのない内容と表現力の貧しさがあり、憂慮していた。竹添先生は長く日本語の音声指導に関わってきた経験と現役の歌人(筆名:桜川冴子)としての特質を活かし、国語分野での教育効果を高めたいという考えに至った。
 まず中高一貫校の入り口、中学1年生を対象として独自の教材を用い、一人ひとりの作品と向き合うことを始めた。初回の授業では原稿用紙ではなく、ただ白い紙を配布し、「自分の何かにこだわって自分にしか書けない自分のことを、他人にわかるように」書かせることから始める。「好きな食べ物」についても書かせる。どちらも5~8行程度の短い文章で、回収をしてそれを読むとき、「ここいいよ!」とコメントをつける。どんなに平凡な文章であっても、できるだけ線を引いて褒めることにしている。それからだんだんに書かせる量を多くしていき、作文やエッセイ、小論文へとつなげていく。  
 こうした文章表現の授業では、教師と生徒の関係は1:30(クラスの人数)ではなく、1:1×30人であることが大切だと言う。教師が一人ひとりの文章と向き合うときにその教育効果は高まるのだと。また、返却のときに、褒めながらクラスで共有する時間をもつのが良い、とも。
 韻文の授業の初めには、季節の生き物の声(鳥、蛙、蝉)をテープで聴かせたり、狂言を聴かせたりしてオノマトペの授業に入る。そこから現代短歌や詩の創作に入ると、生徒には抵抗が少なく、楽しんで創作に励むようだと言う。中学1年ではクラス歌会、中学3年ではクラス連句を年度末に行っている。そうした学習を踏まえて、2011年からは学院祭の際に全校生徒で短歌大会を行うようになった。テーマを決めて「学校の百人一首」を編み、その成果は学院の外にも発信されている。

【写真】
作文を発表し、優れた表現について皆で共有する



審査委員より

長年自らも歌人として短歌創作に携わり、個人歌集の出版や種々のユニークな活動を行うと共に、勤務校で短歌創作を中心にエッセイや小論文など多様なジャンルの表現活動を行う国語表現の授業を工夫しながら継続し、それが生徒の自己肯定感や主体的な表現活動を生み、短歌大会などの充実した成果につながっている点が高く評価される。

プロフィール

福岡県 竹添 智美(たけぞえ さとみ)
役 職:福岡女学院中学校・高等学校 教諭