博報賞

活動タイトル

聴覚障害児を「聴き、話し、歌う」子どもに育てる「聴覚主導の人間教育」の展開

私立日本聾話学校

特別支援教育部門| キーワード:重度障害/重複障害/在宅訪問教育対象児東京都
私立日本聾話学校

活動内容

 子どもが聴き、話すことを基盤とする教育理念に基づいて、聴覚を積極的に活用した教育実践。
 聴覚障害児への教育というと、耳が聞こえないことを前提として手話による教育を思い浮かべる一般の人が多いと思われる。しかし、日本聾話学校では90年以上積み重ねてきた教育実績と最新の医療、技術を背景に、たとえ重度の聴覚障害であっても全く聞こえない人はほとんどおらず、補聴器や人工内耳を使い残存聴力を最大限に引き出せば、特別なケースを除いてどの子も聴くことができる子どもである事を前提に教育を進めている。
 こうした聴くことに的を絞った「聴覚主導」の教育を行うには子どもが装用する補聴器や人工内耳が常に最適な状態で機能し、聴覚補償が整っていることが条件となる。本校ではこの補聴器、人工内耳を最適に調整し、常に最良の状態で聴けるようにオーディオロジー部という独自の部門を設けている。この専任スタッフが子どもの正確な聴力を測定し、その聴力に応じて補聴器、人工内耳を医療機関との連携の下で最適に調整し、毎日しっかり機能しているか細かくチェックしている。
 この聴覚補償を土台にして、子どもの「ことば」と「人格」を育てる「人間教育」を進めている。お互いの想いに寄り添い、「聴きたい」「話したい」という基本的な人間関係を大切にして、子ども自らが「ことば」を獲得していくための支援をする教育を進め、一般幼稚園との交流保育や一般小学校とのクラブ交流を行っている。
 幼稚部のころから「聴覚主導の人間教育」により共感的で対話的な人間性を育み、親や教師から可能性を信じ、待たれて育てられた子どもは、豊かな「ことば」としっかりした「人格」を身につけ、それぞれがもつ力を十分に発揮して、明るく、やさしく、たくましく成長している。

【写真】
最新の聴覚補償システムを活用しての授業風景



審査委員より

対象の少ない重度聴覚障害児のための私立学校として93年の歴史をもち、様々な教育理念が唱えられる聾教育界にあって、子どもが聞き、話すことを基盤とする教育理念に一貫して基づき、補聴器利用が始まった時代から人工内耳の現代まで、聴覚を積極的に活用した教育実践を地道に続け、成果を挙げるとともに、我が国の聴覚障害教育のあり方にも大きく貢献した。

プロフィール

東京都 私立日本聾話学校(しりつにっぽんろうわがっこう)
【創 立】
1920年
【学校(団体)規模・活動参加人数】
○児童・生徒数 : 63名 ○クラス数 : 13 ○指導者数 : 36名