博報賞

活動タイトル

美術教育における作品鑑賞充実のためのICT教材の作成と生徒作品を通しての国際交流

筑波大学附属聴覚特別支援学校

活動内容

「生徒作品を活用した美術鑑賞用ソフト-楽しい美術-」は、本校中学部および高等部での美術の鑑賞学習を、視覚的指導法を手がかりに進めることを意図して開発したICT教材である。作品画像(視覚情報)とコメント(文字情報)の同時提示を特徴とし、聴覚に障害がある生徒たちに作品の内容や作者の考えを理解させるうえで効果的な教材となっている。美術の授業に必要とされる用語も調べることができ、感想や印象を言語化して伝えることが不得意な生徒であっても、その場でことばの力を補うことができるため、授業中の意見のやりとりも活発なものとなっている。「仮想美術館」としての役割も持ち、生徒たちは自分の作品が収録されることを楽しみにしている。そしてそれが授業に向けての意欲的な学習態度にも繋がっている。
 本教材は、一斉授業で活用する他に、美術教室のパソコンで常時視聴し学習できるようにしている。教材はCDに収録しているため、他の教室での活用も可能である。現在は、電子黒板用のコンテンツとしての活用も視野に入れ、生徒が教材を直接操作しながら主体的に学習に取り組む授業のあり方についての研究も進めている。
 作品とコメントをCDに収めた本教材は、学校間での作品交流や共同授業を進める際の媒体としても利用でき、小規模校での授業の活性化や海外の学校との交流事業を推進する方法としても有効である。今後は国内外を問わずこの教材と活動を多くの学校に紹介していきたい。たくさんの教師たちの手で内容を検討し、さらに充実した教材が作成されることを期待している。
 現在、韓国のソウル聾学校との間で交流と本教材の共同開発の計画を進めているが、すでにソウル聾学校の生徒作品を収録した教材の一部を完成させ授業で活用している。日本と韓国の生徒たちが、それぞれの異なる文化から新鮮な刺激や触発を受け、感受性の幅や視野を広げていくことを願っている。本教材は全編を韓国語に翻訳する方向で計画を進めている。

【写真】
ICT教材と電子黒板を使った美術鑑賞の授業



審査委員より

聴覚障害児の美術鑑賞学習を促進するため、ICTを活用した新たな教材を開発し、鑑賞力・批判力とそれに伴うことばの学習を意図したこと等が評価された。インターネットの利用により、国内や海外の聴覚障害児を初め、他の障害種の子どもや健常児にも幅広く利用可能であり、その応用性の高さと効果は高く評価できる。

プロフィール

筑波大学附属聴覚特別支援学校

団体概要

【団体の規模】
児童・生徒数:287名
クラス数:43
指導者数:104名(教員88名、他職員16名)