博報賞

活動タイトル

雲の上の町檮原の自然を生かした伝統文化「和紙づくり」の展開

アウテンボーガルト・ロギール

活動内容

日本の伝統である手漉き和紙の文化を、原料栽培を原点として継承し広める活動を続けている。
 地元である越知面小学校では、1993年から全学年を対象に和紙つくりに取り組んできた。種取りに始まる三椏や楮・トロロアオイなど和紙原料の栽培・収穫そして紙漉きという一連の作業を、それぞれの学年に応じた内容で体験学習し、最終学年では自分の卒業証書を漉く。4年前からは町内の6年生全員が越知面小学校に来て自分の卒業証書を漉いている。
 こうした活動を基に、現在自分の工房や県内外で紙漉きのワークショップを開催している。
 日本から和紙の文化が消えつつある現在、原料栽培においても危機的状況にあり、40 ~ 50年前までは三椏栽培が主要な産業であった檮原町でもすでに絶えてしまっている。子どもたちの祖父母のほとんどが経験している楮・三椏の栽培。私自身の手漉き和紙の経験と技術を通して、ここ四万十川源流の地域の歴史や文化、自然にも触れて、この素晴らしい環境を大切に守ってもらいたい。教室の中だけでなく実際に自分の体や手を動かすことによって、昔の人たちがやってきたことや長年培ってきた知恵、積み重ねてきた素晴らしい文化を感じてもらえるのではないかと考えている。
 自ら育てた原料が自らの手で紙になり、それが1枚1枚手書きされた卒業証書となって額縁に入れられ卒業していく。檮原ではどの家でも、この1枚の証書に込められた様々な思いが、箪笥にしまわれるのではなく壁に飾られている。檮原の子どもたちは豊かな自然と文化の中で自分が大切に育てられたことを忘れず、生まれ育った地域を誇りに思い続けることが出来ていると思う。また単に卒業証書を漉くのではなく、原料から栽培するという取り組みを地域の人も喜んで支え、学校と地域が連携してきたことで長年にわたり継続できている。
 しかし紙漉きは寒い時期のもののため、冷たい水を扱うことになり、時には大雪の中での作業になったり、子どもたちにも厳しい経験になることがある。自然や天候に左右される作業でもあるため、臨機応変の対応が必要となる。毎回学校の先生方とのチームワークで進めてきた。
 最終的に、どの子どもたちも立派な卒業証書を手にし、胸を張って卒業できるよう、その仕上がりには大きな責任を感じている。

【写真】
檮原町内の6年生全員が自分の卒業証書を漉く



審査委員より

地域に密着しかつ地域の全学校とかかわりをもって取り組んでおり、高く評価できる。和紙づくりという伝統文化を通して「自然の大切さ」を教えるとともに、仲間づくりを積極的に図っている。さらにオランダから檮原に住みつき、地域の活性化にも貢献し、一人の人間として、環境問題やそれを考える原点としての伝統文化に着目し実践するなど、国際的視点からも高く評価できる。

プロフィール

アウテンボーガルト・ロギール