博報賞

活動タイトル

書の活動を通じたノーマライゼーション

西里俊文

特別支援教育部門| キーワード:青森県
西里俊文

活動内容

 1994年に採用となった養護学校(肢体不自由)で書の指導をしていたが、転勤となり事実上できなくなった。その時、「書を続けたい」という子ども達の声があり、1999年5月、自宅において無償の書道教室を開催し、活動がスタートした。発足時5名であった会員も、現在では知的障害、聴覚障害、発達障害のある児童生徒や通常学級在籍児童生徒、卒業生や一般の健常者も加わり、障害の有無を越えた大きな輪となって、40名にまで増えた。
 書の作品制作においては、麻痺がある会員には肘を軽く支えて姿勢が正しくなるようにしたり、知的障害児へは、めくり式カード表を使って筆順を視覚的にわかりやすくしたりするなど、個々の実態に応じた指導を行っている。また、会員の年齢、興味関心、障害の程度に考慮した文字や題材の選定をするなどして、個性が十分に発揮できるようにしている。
 書の活動を広く市民の方に知ってもらうため、2001年から毎年ショッピングセンターのホールを借り、書の発表会を開催している。「型にとらわれず自由に自分の気持ちを書に表し、その心の伸びやかさに感動し教えられました」などのたくさんの感想が寄せられ、障害を有している方の表現の幅や可能性に対する理解が少しずつ深まってきている。
 また、2ヶ月毎に会報を発行しているが、編集や印刷、タックシールや切手貼り、物品購入(封筒は会員が通う小規模作業所で作っているリサイクル封筒を購入)など、会員ができることは互いに協力して進められるようにしている。
 書の活動を通じて、障害者と健常者がともに理解し助け合いながら活動する場を盛り込み、障害のある児童生徒及び青年達の自己表現の方法を学ぶ場に止まらず、障害者と健常者が共存しながら生きがいをも育む活動を展開中である。

【写真】
書の発表会に向け、一生懸命に作品を制作



審査委員より

「書」の指導を中心として、肢体不自由児、知的障害児、聴覚障害児など多様な障害のある子どもたちに対して、それぞれの障害の特性に配慮して、一人一人の子どもが個性を力いっぱい発揮できるよう、指導に尽力した点が高く評価された。また、健常者との交流も視野に入れ、長年にわたって草の根的な教育活動を展開した。