コラム

Vol.21

by ひきたよしあき 2019.01.28

男のコトダマ 女のコトダマ

男性的魅力がないせいでしょうか。
あたり触りがないのでしょうか。
女子会によく呼ばれます。

「あ、そうだった。ひきたさん、
一応、男でしたよね」

程度の扱いです。

おかげで、全くそこに「男子がいる」
ということなく、皆さん、女子トークを
展開します。

まず驚くのは、構成されるメンバー。

男子の場合は、会社が同じ、学校が同じ、
趣味が同じ、住んでいる方向が同じなど、
何らか共通するものがあります。

ところが女子会の多くは、誰が誰の
友だちで、この人とこの人がどういう
関係なのかよくわからない。
小学校の友だちもいれば、ママ友つながり
もいる。
一体どうやって共通の話題を探すのか
当初は不思議でなりませんでした。

女子会の会話は、全くのカオスです。
近くで幼稚園の話しをしていれば、
奥で健康の話しをしています。
斜め横ではスピリチュアルの話しを
しています。

「私は、どこに入ればいいのか」

と悩むときもありましたが、
今は慣れたもの。聞きたいことが
あったら、聞いてきますから。

みんなバラバラに話しているのに、
誰かが6キロ痩せた!みたいな
話が聞こえると、全員が今までの
話題を途中でやめて、

「え〜!なになに?どうやったの?」

と興味が一点に集まる。
それを聞くのかと思うと、また
あちこちで違う話しがはじまります。

男では考えられない会話です。

多くの場合、男は仲が良くなれば
なるほど、会話量が減っていく。

「言わなくても気持ちが伝わる」

これが仲のよさなのです。

大学も会社も同じ男の友だちと
焼肉へ行くと、後半はほとんど会話が
ない。それこそが友情の証なのです。

つまり、
女性は仲がよければよくなるほど、
会話量が増える。
男性は、その逆で、会話量が減る。
そして、女性は、内容が特に
なくても「しゃべる」ことそのものが
大好き。男子は、「趣味」や「会社の人事」
など話す目的がないと話せない。

実は、この傾向は小学生の頃から
すでにはじまっています。

女子の仲良しや女の子姉妹といっしょに
食事をする。
お母さんまで含めて、会話はカオスです。

男の子の場合は、はじめのうちは緊張して
杓子定規のことを話すけれど、
「あ、この人は怒らないな」とわかると、
安心して、黙る。
よく、男の子は奥手だとか、照れ屋だと
言われますが、小学生からいい大人までが
この傾向なことを考えると、ひとつの
性向なのでしょう。

だから、お母さん。
息子さんが、喋らなくても、社交的で
なくても心配いりません。
男のコトダマと女のコトダマは
違うのです。

きっと何か目的を見つければ、
熱くなるものを見つければ、
信頼できる仲間を見つけ、
社会の荒波をくぐれば、きっと彼は
語り始めます。

女性の尺度で、男の語りを性急に
判断するのはよくありません。

今も昔も、
「男は黙って・・・」

がかっこいいと、
おしゃべり好きな私は切に感じています。

  • ひきたよしあき プロフィール

    博報堂クリエイティブプロデューサー/スピーチライター
    早稲田大学卒業後、博報堂に入社。クリエイティブ局で、
    CMプランナー、クリエイティブ・ディレクターを経て現職。
    明治大学で教鞭をとるかたわら、朝日小学生新聞にコラムを連載、
    読者である子どもたちとの文通も行っている。
    facebookには年間約1000本のコラムを投稿し、幅広い世代から
    圧倒的な支持を得ている。
    2018年4月より、博報財団コミュニケーションコンサルタントとして
    の活動もスタート。
    著書に、「大勢の中のあなたへ」(朝日学生新聞社)、
    「博報堂スピーチライターが教える口下手のままでも伝わるプロの話し方」
    (かんき出版)、「5日間で言葉が『思いつかない』『まとまらない』
    『伝わらない』がなくなる本」(大和出版)等。